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省エネ時代の企業戦略 ~川瀬・千葉大学教授に聞く~

省エネ時代の企業戦略 ~川瀬・千葉大学教授に聞く~

「省エネ対応モデル実験 中小にも扱える仕組みを」

省エネルギー対策は年々規制が強化され、2008年からは延べ床面積2000平方メートル未満の建築物も法規制の対象になる。こうした中、日本冷凍空調設備工業連合会は経済産業省系の補助金を活用し、千葉大学の参加協力で産官学による「省エネルギー法対応パイロットモデル実証実験」に取り組んでおり、東海地区からはカキトー(桑名市)が実験に参加し、コンサルティング業務など新たなビジネスを模索している。実証実験でデータ解析などを担当した千葉大学外学院の川瀬貴晴教授に話を聞いた。

――省エネ対策にはエネルギー使用実態の把握が課題と指摘されているが。
「社会的情勢として、さらに進んだ省エネ、エコへの取り組みを求めるようになり法律も強化されつつある。このような情勢に対応するための第一ステップは、どこでどれだけエネルギーを消費しているか現状を把握することだ。しかし、中小企業ではそのシステムが整っておらず、外注しようとしてもその受け皿となる業者は少ない」 

――実証実験はその課題に取り組んでいるのか。
「大企業は、既にエネルギー消費と二酸化炭素排出量の削減に取り組みだしている。しかし、多くの中小企業は、そのような取り組みを行う余裕が無い。省エネなどに取り組む部署を設けることを要求するのは現実的ではないだろう。このような中小企業を対象に、エネルギー消費にかかわる現状把握を早く安くする設備業者が多く生まれる必要がある。企業にとってもそこに外注するほうが組織としては効率的かもしれない。その方法を検討するために、産官学が連携してシステムづくりを行った。現在そのシステムを使って多くの建物の実態把握を行っている」

――設備業者にとってビジネスチャンスになる可能性があるのか。
「省エネ対策を行う場合、改善される数値などを具体的に示す必要がある。しかし、ビル全体の改修なら電気や熱量の把握は料金などで可能だが、部分改修の場合は一般的に使用状況の計測が曖昧だった。計測方法はあるのだが難しいため、モデル事業で中小業者にも扱えるシステムをつくり、エネルギー計測・診断ができ、企業などに対しての省エネ提案を可能にすることが狙いだ。全国6地区で地元業者が実証実験に参加することにより、中小設備業者主体の視点を持ち、産官学が一丸となってシステムづくりのサポート体制を整えている。省エネに関する計測や提案といった新しい事業展開に役立つ充実したものができる予感がある」

――環境問題は今後ますます重要になると考えるか。
「長期的に見れば企業や人が使用できるエネルギーは減る方向にある。食品に重量とカロリー消費量が記述されているように、将来は各種製品にも製造時のエネルギー消費量や環境負荷量の明示を求める時代が来るかもしれない。また、建築で言えば1人の人間がその建物を使用するときの標準エネルギー消費量を建設時に提示する時代が来るかもしれない。有限のエネルギーや資源をいかに大切にして次世代、次次世代に残すことができるかを考える時期にきている。企業の社会貢献が言われるが、環境負荷を低減し、現代の生活水準を支えているエネルギーや資源をつつましく使用することによって、今後の世代にも今の生活水準が維持できるように考慮する必要がある。次世代に対する貢献ともいえ、そのような姿勢を持つことが、企業が存立していくための1つの条件にもなるのではないか」

(2008年11月13日 建通新聞)

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